東京の西、山梨の東。県境の小さな町の山のふもとに、
ひとつの養蜂園があります。
桂川が流れ、桜並木が続く。
高尾山へとつながる森が、町を静かに囲っています。
町の中心を、桂川が静かに流れていきます。
春になると桜が長く続き、
夏はアカシアの白い房が揺れる。
町のあちこちに、蜂が訪れる花があります。
季節の入れ替わりが、そのまま
蜜の味へとつながっていく土地です。
上野原は大規模な農地が少なく、
まかれる農薬もごくわずか。
蜂たちが安心して通える花が、
山の裾に点々と残っています。
「農薬の少ない土地」——
それは、何より蜂たちにやさしい環境。
ここで採れる蜜が澄んでいるのは、
その静けさのおかげです。
季節が移るたびに、咲く花が入れ替わる。
桜、藤、アカシア、栗、
そして夏の終わりに咲くヤブカラシ。
蜂たちは町の時間を、羽音でなぞっていきます。
蜜源の多様さが、
三つのはちみつの個性を生む源になっています。
人の気配は少なく、車もあまり通らない。
蜂たちにとって、ストレスの少ない住処です。
静かな土地と、ていねいな手しごと。
そのふたつが揃ったときだけ、
余計なものを足さずに済む蜂蜜が生まれます。